Image

ご挨拶

日本では急速に高齢化が進んでおり、健康寿命の延伸と持続可能な医療システムの構築が喫緊の課題となっています。これらの課題に対応するためには、画期的な医療技術の開発とその実用化を加速させ、医療イノベーションを推進することが重要です。また、その成果を医療現場に適用することで、医療の質を向上させるとともに、効率的な医療提供を可能にすることが求められています。そのため、医薬品、医療機器、再生医療の各分野で最先端のソリューションを開発するとともに、それらの臨床応用を加速するための専門的な拠点を整備する必要があります。

このようなビジョンのもと、当センターは2011年4月、京都大学医学部附属病院内に、経済産業省の「先端イノベーション拠点整備事業」の支援を受け、革新的医療機器の創出拠点として設立されました。オープンイノベーション環境として整備されたレンタルラボを活用し、アカデミアと産業界が密接に連携できる環境を提供することで、革新的な医療技術をより迅速に医療現場に届けることを目指しています。さらに、2020年4月には「先端医療研究開発機構(iACT)」が設立され、臨床研究支援が一層強化されるとともに、医療機器の開発から実用化へのプロセスがより円滑に進む体制が整いました。

当センターは、これまで最先端の可視化技術を活用した診断機器をはじめとする数多くの医療機器の開発を推進してきました。設立から15年を迎えた現在では、デジタルヘルス、AI、データサイエンスの急速な発展により、医療の研究開発の環境はかつてないスピードで変化しています。この変革に対応するため、当センターでは、医療データの利活用の推進、専門的な医療人材育成プログラムの充実、センター独自の研究開発助成事業の強化などを通じて、医療イノベーションを積極的に加速し、有望な新技術をできるだけ早く臨床現場へと展開することに取り組んでいます。

当センターの基本方針は、「医療機器の臨床研究から薬機法申請までを迅速に行う産官学連携拠点として、早期診断から治療まで、革新的な医療機器の速やかな実用化を実現する」にあります。京都大学および京都大学医学部附属病院の強みを最大限に活かしながら、従来の医療機器開発にとどまらず、再生医療やデジタルヘルスをはじめとする次世代の医療ソリューションの開拓を進め、医療の発展に貢献していきます。ここで培われた技術と専門知識は、質の高い未来の医療を築くうえで重要な役割を果たすと確信しています。

当センターは、経済産業省の補助金およびキヤノン株式会社からの多大なご寄付によって建設されました。また、京都市をはじめ、多くの企業や協力機関のご協力に支えられ、発展を続けています。この継続的なご厚意に深く感謝するとともに、今後とも医療イノベーションの推進に向けたご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2025年4月1日

京都大学医学部附属病院
先端医療研究開発機構
先端医療機器開発・臨床研究センター
センター長  妹尾 浩

京都大学医学部附属病院
先端医療研究開発機構
先端医療機器開発・臨床研究センター

センター長 妹尾 浩