医療機器の製造・販売において、臨床的な有効性及び安全性が性能試験、動物試験等の非臨床試験成績又は既存の文献等のみによって評価できる場合は、治験成績が不要注1)となります。したがって、機器の基本的な性能や安全性を担保するための非臨床試験が非常に重要になります。具体的には、医療機器の承認を得るにあたっては、医療機器の設計において、物理的、化学的、生物学的、電気的安全性等が要求され、医用電気機器に対する基本的要求事項として、国際規格(IEC60601-1)や生物学的安全性の規格(ISO10993-1)などが各国の国内規格として取り入れられています。さらに、医用電気機器では、電磁両立性に関する規格(IEC60601-1-2)により、妨害電磁波に対する耐性や電磁波放射ノイズが規制され、同規格に適合することが要求されています。
臨床研究を実施する場合も、機器の基本的な性能や安全性を担保するための非臨床試験の結果が重要であることに変わりはありません。特に、未承認医療機器を使用する場合は、「臨床研究機器に関する説明書テンプレート」などを参考に、機器提供企業から電気安全性、生物学的安全性などの安全性試験や性能評価に関する試験結果を入手する必要があります。
なお、医療機器の場合、操作方法の習得や保守管理が、研究対象者(患者等)のみならず操作者(医療者)の安全性の観点から重要になります。必要に応じて、操作トレーニング実施計画等を立案・作成することが望まれます。また、医療機器の保管・管理の体制整備も重要です。具体的には、医療機器提供企業と事前に相談し、医療機関側の保管場所、保管責任者、保守メンテナンスなどの保管プロセスを確立するとともに、保管・管理の書類整備を行う必要があります。
(2020年1月24日時点の記載です。)
(注1)「医療機器の臨床的な有効性及び安全性が性能試験、動物試験等の非臨床試験成績又は既存の文献等のみによっては評価できない場合に、臨床試験の実施が必要となり、臨床試験成績に関する資料の提出」が求められます。ここで臨床試験は治験を指しています。ただし、「臨床試験の試験成績に関する資料の要否については、個々の医療機器の特性、既存の医療機器との同等性、非臨床試験の試験成績等により総合的に判断」されます。(「医療機器に関する臨床試験データの必要な範囲等について」(平成20年8月4日薬食機発第0804001号通知)から)