2020年9月1日に薬機法の一部を改正する法律が施行され、医薬品、医療機器等をより安全・迅速・効率的に提供することを目的に、「先駆け審査指定制度注1)」や「条件付き早期承認制度注2)」(Q5 参照)、また、医療機器等の変更計画の確認及び計画に従った変更に係る「事前届出制度」が法制化されました。

これまでの一部変更申請では、市販後に恒常的に性能等が変化する人工知能関連技術を用いた医療機器や、市販後に収集するリアルワールドデータを利用して改良を行う医療機器、さらに、使用性向上のためのオプション部品等の追加では、継続的な改良を迅速に行うことは困難でした。

医療機器の特性に応じた承認制度である事前届出制度注3)は、改良が予め見込まれるものについては、「変更計画」を審査の中で事前に確認することで、計画された範囲内の承認事項の一部変更は、変更申請又は変更届出として、迅速に認める承認審査制度で、通称IDATEN: Improvement Design within Approval for Timely Evaluation and Noticeと呼ばれています。

IDATEN制度では、例えば、人工知能関連技術を用いた医療機器の場合、「変更計画確認申請書」注3,4)の添付資料として、審査の過程で、「変更計画の作成及び実施に関する手順」と、市販後に変化する性能を管理するための「その他人工知能関連技術の適正かつ円滑な管理に必要な資料」を提出し、変更計画に従った変更を実施することになります。その際、使用されることで性能等が変化しても、性能等の低下は許されないとの考え方から、製造販売業者等による管理が特に重要となっています。このため、性能等の向上が絶えず維持されるようなプロセスを構築し、そのプロセスが妥当であることなどが評価されることになります。

IDATEN制度は今後の活用が期待されますが、当面の間、PMDAの医療機器開発前相談を申し込み、変更計画がIDATEN制度の対象になるかどうかについて事前に助言を受けることになっています。
(2021年6月30日時点の記載です。)

(注1)先駆け審査指定制度とは、世界に先駆けて開発され早期の治験段階で著明な有効性が見込まれる医薬品等を指定し、優先審査等の対象とする仕組み(小児の用法用量設定といった特定用途医薬品等)
(注2)条件付き早期承認制度とは、患者数が少ない等により治験に長期間を要する医薬品等を、一定の有効性・安全性を前提に、条件付きで早期に承認する仕組み
(注3)薬生機審発0831第14号「医療機器の変更計画の確認申請の取扱いについて」(令和2年8月31日)
(注4)事務連絡「医療機器の変更計画の確認申請に関する質疑応答集(Q&A)について」(令和2年10月30日)