国内の薬機法注1)で規制される医療機器は「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすこと」を目的としており、「介護」は含まれていません。これに対して、介護機器や福祉用具は、福祉用具法注2)で「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人又は心身障害者の日常生活上の便宜を図るための用具及びこれらの者の機能訓練のための用具並びに補装具」と規定されており、薬機法の規制対象外になっています。 一方、EUでは、医療機器規則(Medical Device Regulation; MDR)において、「疾患の診断、予防、モニタリング、効果予測、予後予測、治療又は緩和」に加えて「傷害又は障害(disability)の診断、モニタリング、治療、緩和又は補償(compensation)」が医療機器の使用目的に含まれています。このため、介護機器や福祉用具も医療機器として規制対象になります。また、米国FDAでも、例えば、車椅子は、理学療法機器(Physical Medicine Devices)の中の理学療法用補装具(Physical Medicine Prosthetic Devices)として位置づけられ、医療機器として規制されています。一般的な車椅子は、EUでは手動、電動ともにクラスⅠの医療機器であり、米国、中国などでは、手動車椅子はクラスⅠ、電動車椅子はクラスⅡの医療機器となっています。

世界的に高齢化が進む中、利用者の自立支援や介護者の負担軽減に繋がる生活支援ロボットや介護ロボットの開発が期待されています。国内では非医療機器であったとしても、これらを海外に展開する場合、図に示すように、医療機器として規制の対象になることに十分留意する必要があります。
(2024年3月1日時点の記載です。)
(注1)薬機法:医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
(注2)福祉用具法:福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律